事件とは違うことを書くべきかなと思いつつ、どうもなかなか気持ちをそらすことができないでいる。毎日の時間は普通に流れているが、町にには国旗が至るところに溢れている。テレビもニュース以外は事件前と全く変わらないが、ニュースは事件一色。事件前に盛んに報道されていたあるカリフォルニア議員と性的関係があったとされるインターン(研修生)の失踪事件はまったくなりをひそめてしまった。
ところで私の投稿を読むとアメリカの全てを肯定する信奉者のようなイメージを与えるかもしれないので決してそうではないことを少し書きます。
誰かが今回の事件について、「アメリカの自業自得」というようなことを書いていた。私はその意見には賛成しないけれど、アフガニスタン内戦時にアメリカがゲリラ軍を訓練した点を考えれば、「自分でまいた種」とは言えるかな。
このことで真っ先に頭に浮かんだのが暗殺者の学校という異名も取る悪名高き「スクール・オブ・アメリカ」。アメリカ国民の税金で公式に存在する機関でありながら、しかし多くのアメリカ国民はこの存在を90年代になるまで知らなかった。(私も2年ほど前までは知らなかった。)中南米でのゲリラ戦士を育て、この学校の卒業生にはパナマのノリエガなど独裁者も名前を並べている。
政府の動きは大衆に知らされず思いもかけない方向に進んでいることがある。その意味で今回の事件の行方をじっと見守り、盲目的にアメリカが突き進むことのないように制していく必要はあると思う。
前に「悪いものは悪いから、それが外国であろうとも徹底的にやるべき」と書いた。しかしこれはやはり理想でしかない。現実にそれを行うときは、「正義」よりも真っ先に「利害」が優先されるから。
米各地で反戦デモが行われている。FOXニュースのビル・オライリーがワシントンで起きたあるキリスト教派指導の反戦デモについて「犠牲者の家族に対する侮辱」とコメントした。「侮辱」という言葉に私は賛同しないが、犠牲者の家族の気持ちを考えると、確かに複雑な気持ちになる。いまだかつてTWCの現場では多くの人が夜を徹してバケツリレーで遺体の回収を行っているところを頭に浮かべると…。
でもアメリカの中にも違った見方がある事を世の中に示した点では意義のある行為だと思っている。
今回の事件はとても痛ましいけれど、二つのポジティブな方向がある。それはイスラムに対して人々の興味を引いたこと、そしてテロと宗教を分けた見方を呈した点。もうひとつはアメリカ人が何故アメリカが嫌われるのかを考え始めた点。
ところで、サウジアラビアが全面アメリカ支援の態度から、航空基地の使用は認めないというふうに変わりつつある。ラディン一族は王室ではない。サウジには王室以外でもラディン一族のようにビジネス面で勢力を持つ家が幾つかある。表面的には親王室的な態度を取っていても、心の中では認めていない。
それは王国としての歴史が浅いこと。その昔、サウド家は一地方の豪族でしかなかった。それが現国王の父、アブドラアジズが20世紀のはじめにアラビア半島を統一し、自らが国王となった。その後石油が発見され、何もしないでも王族であれば1ヶ月約300万円と言われるお小遣いが入ってくる。イギリスのような立憲君主国ではないから、全て王家によって掌握されている。
こうした背景によりサウジ国民の中にはもともと反王室感情が根強い。よって親米派の王室がこの事件で更に親米的に振舞うことで反王室感情を煽ることを恐れての変化だろう。
皆が皆、理想と現実、正義と利害の間で右往左往している。
私も。
ブログ アーカイブ
自己紹介
- Jodako
- 2010年8月にコネチカット州よりノースカロライナ州へ移住。移住後の生活をブログにて報告します。
0 件のコメント:
コメントを投稿