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責任回避? 2002/08/05

商品の安全性に問題がある場合、製造元や販売・物流元がリコールをする。一昔前と違って、アメリカではこのところ割と「気軽」にリコールがある。

カリフォルニアにいたとき、私の車(ニッサン)のワイパーに不良があったとかでリコール通知が来た。(中古で買ったのによく私のところに通知が来たな。)すぐに最寄のディーラーに持ってくるようにとあり、無料の修理をしてもらった。(安全性とは関係なさそうだったけど、関係あったのかな?)

記憶に新しいリコールでは去年のファイアーストーンのタイヤ。テレビでもオモチャなど赤ちゃん関連の物のリコールがしょっちゅう報道されている。マクドナルドのキッズミールのおまけでさえリコールの対象になっている。

最近リコールに関して、こんなことを知った。
アメリカ政府は製品の安全性に関する不具合があった場合、その事実が判明してから5日以内に当局に通知することを義務付けている。一方、日本政府は、政府に不具合の通報をしてから5日以内にリコールのアクションを起こすことを義務付けている。

ふたつの違いを考えてみると、
一見、日本政府のやり方のほうが消費者を重んじているように思えるかもしれない。しかし実際にはこれは非現実的で、私に言わせれば単に政府の責任逃れでしかないように思える。

つまりアメリカの場合、通報した後、実際のリコールまでは政府と相談し、逐一状況を報告しながら行動に踏み切ることができる。リコールの可能性が浮上したとしても、本当にリコールに相当する不良なのかどうか見極めるまでには時間がかかることもある。場合によっては政府に対して一旦通報したリコールをキャンセルすることもできる。またリコールの必要性はあっても、実際に問題は短期的には発生せず、数年後に起こる場合も考えられる。リコールする側は行動を起こす前に、人手や必要部品、用具を確保するなど、それなりの準備が必要である。政府と相談しながらのリコールであるから、当然責任の一端は政府も担うことになる。

日本政府の方針の場合、企業が不良に気づいてからいつまでに通報しなければいけないというルールはないようだ。企業としては通報してから5日以内に行動を起こさなければいけないため、当然通報は遅れる。発見してから5日以内にリコールの準備を整えることは、現実的に不可能だからだ。政府は事前に情報を得ることにより、万一リコールまでの間に何か問題が起こった場合に、責任が生じてくるのを避けたいわけである。

進んで責任の一端の担おうとする政府とあくまで責任を逃れようとする政府という対比が浮き彫りになったような気がする。

もちろん企業と政府が結託して真実が隠される場合(これも少し前の日本の政府の姿、これを反省しての方向転換?)も困るのだけど、まったく責任を回避しようとするのもまた困りもの。

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自己紹介

2010年8月にコネチカット州よりノースカロライナ州へ移住。移住後の生活をブログにて報告します。