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DARE 2001/04/23

去年の暮れあたりから週に一度、D.A.R.E. という名前の授業を、5年生の娘が学校で受けていた。
DAREはDrug(麻薬)Abuse(乱用)Resistance(対抗)Education(教育)の頭文字をとったもので、DARE(デア=「勇気を持って…する」という言葉とかけてある。この町だけのものかと思っていたら、全米規模のプログラムの模様。カリフォルニアでも5年生のお友達が受けていたと娘が言う。

警察主催のプログラムで、授業も地元の警察官が来て指導する。

先日、このDAREの授業が終了し、「卒業式」なるものが高校の体育館にておごそかに執り行なわれた。卒業式と言っても証書を受け取るわけではなく、各クラスがDAREで学んだことを寸劇に仕立てたり、歌を歌ったりする発表会だ。

式次第は次のようになっている:
1. カーリス警察官によるはじめの挨拶
2. 国旗に向かってアメリカ国民の誓い (これはいつのイベントにもつきもの)
3. 市長からの激励のことば
4. 「ロールモデル(=模範)」に指名された高校生3名からのことば
5. 各クラスの劇および歌 (全7クラス)
6. DAREエッセーコンテスト入賞者発表
7. シュレージ警察官による終わりの挨拶

夜7時に始まり、1時間半に及ぶプログラムの中で、「麻薬、タバコ、お酒」をテーマに繰り返し劇や歌が催された。

たとえば高校生の話は
「おい、君たち、5年生というのは、色々な誘惑が多くなる年だ。僕も5年生だったことがあるから知ってるよ。でも、絶対にそんな誘いに乗っちゃ行けない。誘いに乗るような奴は、実は少数派なんだ。だからNOというのを恐れる必要はないんだよ。」

「高校に入ったら、是非ともクラブ活動に参加してね。忙しくしていれば、誘惑も少ないし、タバコなんて吸ったら運動もできなくなるわ。スポーツは楽しいわよ。」

寸劇では、
A:「おい、ビール飲まないか?」
B:「いや、いいよ。」
全員:「私たちは今、誘いを断りました」

C:「マリファナ吸いに行こうぜ」
D:「それより、サッカーしようよ」
全員「話題を変えて対応しました」

E:「タバコ吸えよ」
F:無言でその場を立ち去る
全員:「その場を立ち去って対応しました」
(基本的な対応方法は全部で8つ。上記の「No thanksと言う」、「話題を変える」、「立ち去る」のほか、「人数的に優勢になって対処する」、「そうなる状況をさける」、「繰り返し断る」、「理由や言い訳をつけて断る」という方法を授業で習う。)

娘のクラスは、歌を歌ったのだが、その歌詞は:
…人は私に命令できない  決められるのは私だけ
…わなにはまってはいけない、愚かな人間になる必要は無い
…麻薬なんて使わない…

観ている親の中にはタバコを吸う人もいれば、お酒を飲む人もいるし、中には麻薬をする人もいるだろう。さぞや居心地が悪かろう…なんて思ったりしていた。

さて、すべてのプログラムが終了したのは8時半。ようやく、外に出る。

次から次へと人が流れ出てくる建物の出口付近で、一組の夫婦が、「あー、長かった。ヤニが切れてたぜ」と言わんばかりに、おもむろにタバコに火をつけると、大きく煙を吐き出した…。 見れば走り去る車の中には、くわえタバコでハンドルを握る親父も。 

あまりのミスマッチな光景に思わず「見て、見て! ほら、みんなタバコ吸ってるよ」なんて笑い転げてしまった。すると、むっとした表情で娘ににらまれた。

真剣に取り組んでいる子供たちの気持ちに水をさしてしまったことに気がついて反省。
(でも、やっぱり、思い出すと笑える。)

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2010年8月にコネチカット州よりノースカロライナ州へ移住。移住後の生活をブログにて報告します。